
昔は用水路だけでなく、ちょこっと田んぼを覗き込むと人影に驚き、物陰に隠れようとするメダカを見かけたものでした。
しかし、最近ではそのような光景もほとんど見かけなくなりました。
なぜ田んぼからメダカの姿が消えてしまったのか。
環境開発や時代の流れと一言でまとめてしまえばその通りなのですが、その本当の理由について少し掘り下げてご紹介いたします。
昔の田んぼにはメダカが普通に見られた
昔の田んぼはその多くが、冬でも水が満たされたままでした。
そのため、人にとっては稲を育てる田んぼでもメダカにとっては極めて住み心地の良い住処だったのです。
水深の浅い田んぼでは大型の肉食魚に襲われる心配もない上、流れもほとんどないために泳ぎがあまり得意ではないメダカにとっては流される心配も無く安心して過ごせたのでしょう。
ではなぜそんな快適な住処からメダカは姿を消してしまったのでしょう。
実は好んで姿を消したので無く、メダカにとっては追いやられた結果となってしまったのです。
今の田んぼと昔の田んぼの違い

現在の田んぼの多くは整備され、水が共同管理されており、冬の間は水が抜かれて乾燥した田んぼ(乾田)となってしまっています。
稲の刈り取り後に水を抜くと水は排水路から川へすべて流されてしまうので、たとえメダカがそこに残りたいと頑張っても、メダカも一緒に流されてしまうのです。
どうにか田んぼに残ったメダカの卵も徐々に干あがる田んぼの状態にどうすることもできずに死んでしまいます。
乾田の影響を受けた生物はメダカ以外にも沢山おり、そのため現在の日本の田んぼは昔に比べ非常に生物相が寂しいものとなってしまっています。
稲作の発展とともに作業効率などを考慮した結果の策であるがゆえに誰も責めることはできませんが、自然環境が減り見かけなくなった生物の数に懐かしさと寂しさを感じる人は多いようです。
最近では、昔のように1年中田んぼに水を張っておき、生物相豊かな田んぼを取り戻そうといった動きもあります。
是非そのような運動が全国的に広まり、メダカを見かけることのできる田んぼが増えることを望みます。
今回は田んぼに野生のメダカがいない理由についてご紹介しました。皆様のメダカ飼育の参考にしていただければ幸いです。