メダカの白点病、その原因と治療方法についてまとめました。
巷では水温を上げる・鷹の爪治療・塩浴治療・薬浴治療など様々な治療法が知られています。
それぞれの治療のやり方からメリット・デメリットについても紹介いたします。
白点病の原因と症状
水温が下がりやすい冬から初春にかけてメダカが罹りやすい病気に白点病があります。
白点病は病名の通りメダカの体表に白い点々が現れるようになり、徐々に進行していく病気です。
その白点病の原因となるのがウオノカイセンチュウと呼ばれる寄生虫です。
海水魚の白点病と区別するためにイクチオフチリウス症と呼ばれることもあります。
この寄生虫は0.5mm~1mmくらいの大きさをしており、メダカの体表に侵入して繁殖をはじめます。
ウオノカイセンチュウは環境が整ってしまうと繁殖力が非常に強く、次第にひれ全体から体の各部に広がり、放っておくとメダカに白い粉をまぶしたようになってしまいます。
白点病が発病しやすい条件
発病しやすい条件の一つが急な水温の低下です。
水温の低下はメダカの活性を鈍らせるうえに体調を崩す原因にもなります。
このような時にウオノカイセンチュウが進入してくると抵抗力が弱く、感染しやすいのです。
ウオノカイセンチュウはメダカの体表にくっつき動き回るため、メダカはかゆがり岩や流木などに体を擦り付けるしぐさをするようになります。
このようなしぐさを見つけたら要注意です。
私たちが冬になると風邪やインフルエンザなどに罹りやすくなるのと同じような仕組みで、白点病はメダカの風邪とも言われています。
白点病の治療 まずは水温を上げる
白点病の治療には様々な方法がありますが、まずは水温を上げることから始めます。
先にも述べましたように低水温はメダカの活性を鈍らせるため、回復力も低下してしまう傾向にあります。
よって私たちが風邪をひいたときにまずは体を温めるようにメダカも温めてあげましょう。
さらに白点病の原因とされるウオノカイセンチュウは25℃以下の水温を好むので水温を上げることにより活動を鈍らせることができます。
水温調整機能付きヒーターを使用し、水温を28℃くらいまで高めます。
水温を上げるときの注意点は現状の水温を確認し、ゆっくりと上げていくようにすることです。
短時間での極端な水温変化はメダカにも大きなストレスと負荷を与えてしまいます。温度差の限界は1日で3℃くらいと覚えておいてください。
もし現状の水温が24℃でしたら初めの設定を26℃に設定し、2日くらいかけて28℃まであげるようにするとメダカへの負荷を抑えることができます。
そのためには温度設定ができるヒーターが必要となってきます。
白点病の治療アイテムの一つとして温度設定可能なヒーターを用意しておくことをお勧めします。
白点病の治療 塩浴
メダカに限らず、昔から魚が病気になると塩を使った塩浴が効果的ということが知られています。
確かに塩浴は魚の病気に対して効果的ですが、その仕組みややり方を理解せずに塩浴を行っている人も多いようです。
まず知っておいて頂きたいことが、「塩が病気を殺菌してくれる」、「沢山入れれば早く病気が治る」このような考え方は間違いです。
塩に殺菌効果はありません。
ではなぜ塩を使った塩浴が魚の病気に効果的なのか、そのメカニズムについて触れていきます。
微量の塩分は生物の体調を整える効果があり、逆に人は塩無くして生きてはいけないとまで言われています。
その塩分濃度は生物により多少の違いがあり、浸透圧によってバランスが保たれています。
人は血液・組織液と浸透圧の等しい約0.9%の食塩水が望ましく、水分欠乏時の点滴などで用いられます。
メダカなどでは0.5%程度の塩水が望ましいとされています。
逆にこの数値よりも濃度の濃い塩水は浸透圧の関係で脱水効果が現れます。
ナメクジなどに塩をかけると水分を奪われ溶けるようになってしまうのと同じで強い塩水は生物の脱水作用を促します。
この仕組みを利用して濃いめの塩水で短時間治療により寄生虫を退治する方法もありますが、メダカに対しても大きな負担となるのは間違いありません。
また、濃度や塩浴時間・タイミングなどを間違えると効果があまり期待できないうえにメダカには負担をかけてしまうという問題もあります。
よって高濃度の塩水浴はあまりお勧めできません。
塩浴は適正濃度を保ち、メダカの体調を整えるために行うものと覚えておきましょう。
白点病の症状にもよりますが、初期であれば高水温の維持と塩浴で回復することも多々あります。
よってなんだか様子がおかしいなぁと感じたら予防の意味も含めて水温維持と塩浴を行なってみるのも良い方法かもしれません。
ただ、塩浴は水草に影響を与えますので、水草が入れてある水槽では行わず、隔離水槽を用意して行うようにしましょう。
白点病の治療に鷹の爪
白点病の治療には鷹の爪が効果的という話はよく聞く話で、鷹の爪を入れたことにより白点病が治ったという事例はネット上でも沢山取り上げられています。
また、生体や水草にも害がないという報告も多数上がっています。
確かにお米の保存にも鷹の爪を数本入れることにより虫を避ける効果があります。
科学的なメカニズムは解明されていないようですが、先人の知恵というものはあながち間違ったものではないと言えるでしょう。
鷹の爪を使った白点病治療の方法は水10リットルに対して鷹の爪1本、60cm水槽なら5、6本が適量とされています。
さらにそのまま入れるよりも刻んでネットなどに入れた方が効果があるという説もあります。
白点病の治療 薬浴
水温を上げる方法、塩を利用する方法などはメダカそのものの免疫力を高めることにより自然治癒を目指すものです。
高めの水温を維持することによりウオノカイセンチュウの活動を鈍らせる効果もあります。
そのような方法に比べて薬浴は白点病の原因そのものを退治する治療法ですので非常に効果的な治療法と言えるでしょう。
白点病の薬浴をおこなう場合には使用する薬品の用量用法をしっかり守るようにしましょう。
また、薬浴だけで行うよりも水温管理や塩浴と合わせて薬浴を行うことでさらに効果が見込めます。
どのような治療法にしても、白点病の進行が初期であるのか、末期であるのかによって治療の効果が現れるか現れないかも変わってきます。
ここで紹介した方法はどの方法も白点病が改善された事例のあるものばかりです。
それぞれの治療法のメリット、デメリットをしっかり理解し、正しい治療法と早め早めの対策で白点病は治すことができるものなのです。
白点病の自然治癒
白点病は自然治癒する病気なのか?
白点病にかかってしまったメダカは今の環境のまま見守ってあげれば治ることもあるのか?
その疑問に対しては、ほぼ「NO」という答えでしょう。
今ある環境で白点病にかかってしまったということは、今の環境が白点病の原因となるウオノカイセンチュウにとって都合の良い環境ということになります。
その環境をまずは改善しなければ白点病が自然治癒することは考えにくいものです。
水換えの回数を増やし、水質の維持に努めながら適度な水温を保ち、時には塩浴を試みるなどの対策により初期症状の白点病であれば回復は見込めるはずです。
それでも改善が見られない時にはやはり自然治癒を願うよりも薬浴などでしっかり治療してあげることが大切です。
今回はメダカの白点病原因と治療についてご紹介しました。皆様のメダカ飼育の参考にしていただけると幸いです。
まとめ記事
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