メダカの稚魚が黒いのはなぜ?稚魚の色はいつから変わる?

2021年4月11日

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メダカの稚魚の色

メダカの稚魚の色が黒いのはなぜ?

メダカの色を決める色素胞とは?

みゆきメダカの稚魚の色が黒い?

メダカの赤ちゃんの色が黒いのは容器の影響?

稚魚の色はいつから変わるのか?

こんなメダカの稚魚が黒い理由や稚魚の色変わりについてご紹介いたします。

メダカの針子についてはこちらのまとめ記事をご覧ください。

メダカの稚魚(針子)の色が黒い理由

親メダカは黒くないのに産まれてきた稚魚(針子)が黒っぽい。こんな経験をされた方も多いのではないでしょうか。

産まれたばかりのメダカの稚魚(針子)を顕微鏡やルーペなどで拡大してみると体のあちらこちらに黒い点が見られます。

この黒い点は全ての稚魚に同じようにあるものではなく、個体差や品種差により多い稚魚もいれば少ない稚魚もいます。

色素胞とはメダカなどの魚類が真皮や鱗に持つ細胞で、どの色素胞を持つかで体色が決まります。

ちなみにヒメダカや楊貴妃メダカは黒色素胞が少ないため稚魚は黄色っぽく見えます。

メダカの色を決める色素胞とは?

ここから先の話の理解度を深めるためにもメダカの色を決める色素胞について簡単にご説明いたします。

学術的な話になると難しい専門用語が沢山出てきてその用語を理解するだけでも混乱してしまいますので、ここではあえてわかりやすい表現に置き換えてご説明いたします。

そのため厳密には少々意味合いが違う表現もありますのでご了承ください。

色素胞と呼ばれるものには黒色素胞、黄色素胞、赤色素胞、白色素胞、虹色素胞の5種類があります。

その中で野生の黒メダカには本来黒色素胞、黄色素胞、白色素胞、虹色素胞の4種の色素胞が備わっています。

色素胞の中でもそれぞれに働きと特徴があり、黒色素胞と黄色素胞は光吸収性色素胞と呼ばれています。

黒色素胞にはメラニンを含有し、黄色素胞には餌から摂取するカロテノイドなどが含まれます。

この光吸収性色素胞の2種が真皮に存在すると言うことがこの後の話に大きく関係してきますので覚えておいてください。

真皮(しんぴ)とは、表皮と皮下組織の間の乳頭層と真皮網状層から構成される皮膚の層で、繊維性結合組織から構成される。

引用元:Wikipedia

これら二つの光吸収性色素胞は産まれたばかりの稚魚の時から現れますので稚魚が黒く見えたり、黄色っぽく見えたりします。

また、黒色素胞は遺伝的なものなので成長とともに急激に増えることはありませんが、黄色素胞は成長とともに増えていきます。

黄色素胞を増やすために色素胞の素となる成分を含んだ餌を与えるとメダカの色合いが良くなります。

これが色揚げ用の餌です。

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残りの白色素胞と虹色素胞も遺伝子的には真皮に存在しますが、この二つの色素胞は色素胞と言いながらも色素を含まないためほとんど目視できません。

白色素胞は光散乱性色素胞と呼ばれ、広い波長域の光を散乱する細胞小器官を持つ細胞です。

この白色素胞が鱗に現れてくると光を散乱されるために人の目には白く見えるようになります。

虹色素胞は反射小板と呼ばれる光を反射する結晶を持ち、反射された光で色を表現する細胞です。

この虹色素胞に含まれる反射小板の厚みや枚数、重なり方で光の反射の仕方が変わり私たちの目に様々な色合いを見せてくれます。

みゆきメダカの背部のラメはこの虹色素胞によって作り出されています。

色素胞について再度整理してみましょう。

  • 黒色素胞は黒い色素を持ちメダカの体色を黒く見せる。
  • 黄色素胞は黄色やオレンジ色に近い色素を持ちメダカの体色を黄色く見せる。
  • 黄色素胞は食べる餌によってメダカに蓄積されて色合いを増す。
  • 白色素胞は色素を持たないため産まれたばかりの稚魚の段階ではほとんど見えない。
  • 鱗に現れてくると光を散乱させて白く見えるようになる。
  • 虹色素胞も色素を持たないため産まれたばかりの稚魚の段階ではほとんど見えない。
  • 鱗に現れてくると光を反射されるためラメのように見える。
  • 虹色素胞に含まれる反射小板の構成により青みがかった色合いが表現される。

ヒメダカや楊貴妃メダカはこのうち黒色素胞が欠落した変異種を固定してものです。

みゆきメダカは黄色素胞が欠落した変異種を固定したものです。

メダカの体色を決める色素胞には優位性があり、その優位性は黒色素胞→黄色素胞→白色素胞→虹色素胞の順となっています。

これらの色素胞のどれが鱗に現れてくるかによりメダカの色合いが決まってきます。

みゆきメダカや青メダカの稚魚は黒い

野生の黒メダカの稚魚が黒っぽく、ヒメダカや楊貴妃メダカの稚魚が黄色っぽく見えるのは理解できる。

しかし、みゆきメダカの稚魚が黒いのは何故か?

みゆきメダカは白っぽく見えるため黒色素胞と黄色素胞の両方が欠落しているように感じてしまいがちですが、実はみゆきメダカは黒メダカから黄色素胞だけが欠落しただけの変異種です。

よってみゆきメダカの遺伝子には黒色素胞がしっかり残っています。

メダカの稚魚は見た目でも分かると思いますが、産まれてすぐの頃にはウロコがありません。

ツルツルして透明感のある体表が見られるはずです。

よって光吸収性色素胞のうち黒色素胞だけを持ち合わせているみゆきメダカの稚魚は黒く見えるのです。

背部の光沢のある青い体色を特徴とするみゆきメダカの体表の金属光沢は虹色素胞における反射小板によって表現されています。

真皮深層に反射小板を含む虹色素胞が規則正しく配列しているため、グアニンの板状結晶(反射小板)と細胞質の積層構造による干渉の効果であのような色に見えるのです。

本来はメダカの腹部に出るはずの虹色素胞が突然変異によって背面や各ヒレに出るようになりました。

みゆきメダカの青色の体色は反射小板による構造色以外に深層にある黒色素胞も関係しているとされています。

稚魚の色が黒いのは容器の影響もある

稚魚の色が黒いのは先に述べましたように、その稚魚が持ち合わせている黒色素胞の量によるものです。

ただし、色の濃さとなるとメダカの持ち合わせている能力の一つである背地適応が関係してくるため、明るい容器で飼育するよりも黒い容器で飼育した方が濃い色合いになります。

背地適応とは明るい色合いの場所では明るく、暗い色合いの場所では自分も暗い色合いに変化することで周りと同化する保護色のようなものです。

さらに黒色素胞は光の当たる場所で色素胞内の粒子が拡散し黒色の面積が広がることが知られています。

色素胞内の粒子が凝集や拡散することによりメダカの色の濃さが変化します。

この働きは同じ光吸収性色素胞である黄色素胞でも起こりますので、ヒメダカや楊貴妃メダカも太陽の光にしっかり当ててあげると色合いが濃くなります。

稚魚の色はいつから変わるのか

稚魚の色が変わるのは鱗や鰭がしっかりとでき始めてからとなるため1cmを超えたあたりからとなります。

それまでは体表に現れている光吸収性色素胞の影響を色濃く受けるため親メダカとは違う色になることもあります。

その後、鱗の成長とともに鱗に現れる色素胞の種類によりメダカの色は決まります。

これはほぼ遺伝によるものですので、稚魚の段階で黄色っぽいものが成長ともにみゆきメダカになったり、稚魚の段階で黒い稚魚が楊貴妃メダカになったりすることはありません。

メダカの稚魚が黒い理由と色変わりまとめ

  • メダカの稚魚が黒いのは黒色素胞の影響
  • メダカは4種の色素胞をもともと持ち合わせている
  • みゆきメダカは黄色素胞が欠落した変異種の固定
  • ヒメダカは黒色素胞が欠落した変異種の固定
  • 黄色素胞は食べる餌によって成長とともに増えていく
  • みゆきメダカの背中のラメは虹色素胞によるもの
  • メダカの色合いをよくするには太陽光にしっかり当ててあげること
  • 稚魚の色は鱗が成長してくてくると親メダカと同じ色になってくる

今回はメダカの稚魚が黒い理由と色変わりについてご紹介しました。皆様のメダカ飼育の参考にしていただけると幸いです。

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マサ

マサ

25年以上のアクアリウム経験から得た知識を多くのアクアリストに発信しています。2006年から運営しているブログは気がつけば2000万人以上の方に読んで頂いております。私の経験と知識が皆様の水槽管理のお役に立てれば幸いです。これからも有益な情報を発信していきますのでお時間がありましたらお付き合いください。

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