
水槽やビオトープの水質悪化とは?
水質悪化はどのように判断できる?
コケが生えた状態が水質悪化?
水質悪化させない世話の仕方は?
こんなメダカや金魚の飼育における水質悪化の疑問についてご紹介いたします。
水槽やビオトープの水質悪化とは?
メダカや金魚を健康に飼育する上で特に避けたいのが水質悪化です。
メダカの体調不良や病気の話になると必ずのように出てくるのが「水質悪化が原因」という問題です。
そんな水槽やビオトープの水質悪化とはどのような状態なのでしょうか?
水質悪化とは、読んで字の如く様々な要因で水が汚れ魚の生育に不向きな水となることです。
具体的には次のような状態が水質が悪化していると言えます。
- アンモニア濃度の上昇
- 亜硝酸や硝酸塩の蓄積
- pH値の変動
- 富栄養化(窒素・リンの蓄積)
アンモニア濃度の上昇
有機物から発生するアンモニアが分解されずに水中に蓄積することでアンモニア濃度が上昇します。
アンモニアは生体にとって特に有毒な物質ですので、濃度が高まるとメダカや金魚などは中毒症状を起こし、最悪の場合死んでしまいます。
亜硝酸・硝酸塩の蓄積
亜硝酸や硝酸塩はアンモニアが分解することによって順番に生成させる物質で、アンモニアよりは毒性が低くなります。
それでも水槽内に蓄積していくことで徐々に生体にも悪影響をあたえるようになりますので、水質悪化の原因と言えます。
pH値の変動
pH値が極端に酸性やアルカリ性に傾くのも魚の健康を害するので、水質が悪化した状態と言えるでしょう。
硝酸塩が蓄積してくると水質は徐々に酸性に傾く傾向にあります。
水中の富栄養化
富栄養化は水中に栄養素が多すぎる状態を言います。
有機物の蓄積や水草用の肥料を与えすぎることが原因で起こります。
富栄養化が起こると水が濁ったり魚が酸欠を起こしたりといった悪影響があるので、富栄養化も水質悪化の一つです。
ビオトープなどメダカの屋外飼育で発生するグリーンウォーターは植物性プランクトンが発生した状態ですが、これは水中の富栄養化から発生します。
そのため、一概に全ての富栄養化が悪いとは言い切れません。
しかし、グリーンウォーターも濃くなり過ぎれば魚が酸欠を起こしたり、植物性プランクトンが大量死した場合に一気に水質が悪化する事もあるので、グリーンウォーターもメリットばかりでは無いことを覚えておきましょう。
屋外飼育ではメリットとなる事もある富栄養化ですが、室内水槽飼育では水質悪化のデメリットが大きいものです。
以上のように、水質悪化は魚の体調を崩すだけではなく、病気の発症原因ともなり魚の健康を著しく害してしまいます。
水質が悪化しないように適切に管理する事が魚の健康に不可欠です。
水質悪化はどのように判断できる?
メダカや金魚などの魚を飼育している水槽が水質悪化しているかどうかは、どこを見て判断すれば良いのでしょうか?
水槽やビオトープの水質が悪化してるかどうか判断する方法として、次のようなものがあります。
- 水の状態を見て判断する
- 魚の状態で判断する
- 水質検査キットを使う
まず一つ目の判断材料は「水の状態を見て判断する」事です。
水が白く濁っている場合、水槽内の有機物と微生物のバランスが整っていない事が原因としてあります。
これは水槽立ち上げ初期に発生することが多い現象です。
濁りが黄色や茶色がかっている場合は、富栄養化が原因です。
このように、水の濁りの色を見て水質悪化の原因を判断することができます。
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次に、飼育している魚の状態を見て判断する方法があります。
水槽内の水質が悪化すると、その中で飼育している魚は次のような行動を起こします。
- 上下に激しく泳ぎ回る
- 頻繁に水面に顔を出す
- 元気が無くなる
- 食欲が無くなる
飼育しているメダカなどの魚が、急に水槽内を上下に激しく泳ぎ出した場合、アンモニア濃度の上昇などによる水質悪化が考えられます。
頻繁に水面に顔を出す鼻上げ行動を起こしている場合は、酸欠や亜硝酸濃度の上昇が原因です。
また、元気が無くなりジッとしている事が増えたり食欲が無くなったという場合には、水質悪化によって体調を崩している可能性があります。
このように、水や魚の状態を観察することで水質悪化が起きているか、ある程度判断することができます。
しかし、これだけで全てを正確に判断することは難しいです。
例えば、毒性の弱い硝酸塩が徐々に蓄積した場合、pHはどんどん酸性に傾くためメダカや金魚が生息するには適さない環境になってしまいます。
しかし、水は濁る事なく無色透明なままなので、水の状態を見ても判断できません。
また、硝酸塩のような毒性の弱い物質によって徐々に水質が悪化した場合、メダカなどの丈夫な魚はその水質に耐えられるので、目立った変化を見せない場合があります。
それでもやはりダメージは蓄積しているので、ある時一気に体調を崩し全滅することも少なくありません。
このように、水や魚の状態を見ただけでは水質悪化を早期に気づけないケースもあるので、この場合は「水質検査キット」を使って測定する事をおすすめします。
例えば、「テトラ テスト6in1」は、水に1分間つけるだけで、pHや亜硝酸、硝酸塩などの6種類の数値を即座に測る事ができ、とても便利です。
定期的に水質検査キットで水の状態を管理しておけば、いち早く水質悪化に気づくことができます。
以上のように、水や魚の状態を観察することで水質悪化を知ることはできますが、水質悪化の原因によっては見逃してしまうこともあるので、水質検査キットでの定期的な測定も合わせて行うことをおすすめします。
コケが生えた状態が水質悪化?
メダカや金魚を飼育している水槽にコケが生えた場合、これは水質が悪化している状態なのでしょうか?
結論から言うと、コケ発生の原因の1つは水質悪化にあると言えます。
コケがなぜ生えるのかというと、水中に養分が豊富にあるからです。
コケは窒素やリンといったものを養分として増殖します。
つまり、コケがどんどん生えてしまう水槽やビオトープというのは、富栄養化状態にあると考えられるのです。
このように、コケの発生は水質悪化が1つの原因です。
しかし、コケが生える原因には水質悪化以外にも、「直射日光」や「照明時間の長さ」があります。
水槽を太陽光が直接当たる場所に置いているとコケが生えやすくなります。
これは、太陽の強すぎる光でコケが活発に光合成するためです。
また、水槽に取り付けているライトの照明時間が長すぎると、これも光合成を活発化するためにコケ発生の原因になります。
以上のように、確かにコケ発生の原因の一つに水質悪化が挙げられますが、この他に光による光合成の活発化も原因にあるので、コケの発生全てが水質悪化状態とは言い切れません。
- 水槽に日光が直接当たっていないか?
- 照明時間は長すぎないか?
という点をチェックして、どちらも除外できた場合は水質悪化が原因と判断できます。
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水質悪化させない世話の仕方
水質悪化はメダカや金魚の健康を著しく損ないます。
そのため、できるだけ水質悪化させないように管理することが大切です。
では、水質悪化させない世話の仕方とはどのように行えば良いのでしょうか?
それには次のようなものが挙げられます。
- 餌を与えすぎない
- 枯れた水草や死んでしまった生体を放置しない
- 過密飼育を避ける
- 適度な頻度で水換えする
- 濾過フィルターや底砂を定期的に掃除する
メダカや金魚などの魚飼育の大きな楽しみの1つが餌やりです。
パクパクと可愛らしく食べる姿を見るとたくさん与えたくなりますが、与えすぎは禁物です。
餌をたくさん与えると糞などの排泄物の量が増えますし、食べ残しが出てしまうこともあります。
これら糞などの有機物の量が増えると、アンモニアなどの有害物質が大量に出てしまい、濾過バクテリアが処理しきれなくなってしまいます。
これにより富栄養化やアンモニア濃度の上昇を招き、水質が悪化してしまうのです。
餌は1日2回、5分以内に食べ切れる量を与え、食べ残しはその都度回収しましょう。
屋外でのビオトープ飼育の場合は、水中にプランクトンやボウフラなどが湧くので、室内飼育よりも少ない餌の量で構いません。
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餌の与えすぎは水質悪化だけでなく、魚の消化不良や便秘の原因にもなるので、少なめの給餌が魚の健康維持に効果的です。
水草などの水生植物を入れている場合、枯れ落ちた葉っぱなどはなるべく回収するようにしましょう。
枯れた水草の葉っぱは有機物なため、あまりに多く堆積すると富栄養化を招いてしまいます。
ただし、水槽内にミナミヌマエビやヒメタニシなどを入れている場合は、枯れた水草がこれらの生物の餌となるので、少量なら残しておいても構いません。
水槽内の生物環境に合わせて調節してください。
過密飼育も水質悪化を招く大きな原因の1つです。
水量に対して生体数が多い場合、糞などの排泄物の量も多くなるため、すぐに濾過バクテリアの処理能力を超えてしまいます。
そのため水が短期間で汚れてしまうのです。
また、過密飼育は生体数が多いために水中の溶存酸素量が足りなくなり、酸欠を起こしやすくなります。
溶存酸素量が少ない影響はメダカなどの生体だけでなく濾過バクテリアにも及びます。
濾過バクテリアは好気性バクテリアと言って酸素が豊富にあるところで活発に増殖します。
しかし、酸素が足りない環境では活動が鈍ってしまうのです。
以上のような理由から過密飼育は水質が悪化するのが早いので、水量に対して適切な匹数の生体を飼育しましょう。
水質を悪化させないためには水換えも欠かせません。
よほど生態系バランスが整っている水槽でもない限り、水換え無しで水質管理することは困難です。
いくら生物濾過と物理濾過が揃った環境であっても、水の汚れをゼロにする事はできません。
確かに、濾過フィルターは糞などの汚れを物理的に取り除いてくれますし、濾過バクテリアは有機物から発生したアンモニアを硝酸塩まで分解してくれます。
しかし、この2つの濾過でも硝酸塩を分解することはできません。
硝酸塩は毒性が弱いですが、それでも水中に蓄積すれば魚に害があります。
そのため、この溜まった硝酸塩を取り除き水質を維持するために水換えが必須となります。
硝酸塩を分解するサイクルを作ることも可能ですが、室内水槽の場合には水換えで管理した方が楽です。
ちなみに、窒素化合物であるアンモニアを硝酸塩に分解する工程を「窒素循環」と言います。
そして、硝酸塩を無毒な窒素にする方法もいくつかあります。
しかし、一般的な室内水槽の場合、硝酸塩を窒素に分解するのは一部の嫌気性バクテリアです。
この嫌気性バクテリアによる硝酸塩を窒素にする方法は好気性バクテリアとのバランスが難しいため、アクアリウム初心者の方にはハードルが高いものです。
よって水槽内の硝酸塩は水換えで濃度を下げるようにしましょう。
ちなみに、屋外ビオトープなどの場合、睡蓮やホテイ草といった水生植物によって窒素が吸収されますので、水換え無しでも硝酸塩が溜まりにくい環境を作る事ができます。
以上のように、一般的な水槽の場合、定期的な水換えは水質悪化防止にとても重要です。
濾過フィルターを付けたり底砂を敷いている場合、これらの掃除を定期的に行うことも大切です。
濾過フィルター内部や底砂の中にも有機物が蓄積します。
これらを掃除しないで放置していると、いくら水換えしてもすぐに水質が悪化するようになってしまいます。
濾過フィルターはろ材を交換するタイミングで、底砂も数ヶ月に一度はプロホースで汚れを吸い出すように掃除しましょう。
以上が水質悪化させない世話の方法です。
これらに加え、最初にしっかりと水槽を立ち上げ濾過バクテリアを定着させることと、底砂を厚く敷かないという事も水質悪化を抑えるために重要なポイントです。
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水槽・ビオトープの水質悪化まとめ
- 水質悪化とは魚などの生体が健康に生育できない水質になってしまうこと
- 水質悪化の判断は魚や水の状態を観察したり水質検査キットで判断できる
- 水質が悪化するとコケに必要な養分が増えるのでコケが生えやすくなる
- 水質悪化の要因を取り除くように世話をする事が大切