
メダカの繁殖において、稚魚が一番死んでしまいやすいのが孵化直後の数日間です。
卵からかえったばかりの稚魚は、腹部にヨークサックと呼ばれる栄養の袋を持っており、最初の2日から3日は餌を食べずに過ごします。
しかし、この袋の栄養を使い切った瞬間に適切な餌が目の前にないと針子はあっという間に餓死してしまいます。
針子の餓死を防ぐための給餌タイミング
給餌を開始する合図は、針子が水面付近を活発に泳ぎ始めたタイミングです。
この時期の稚魚は口が非常に小さく、一般的な成魚用の餌を細かく砕いたとしても物理的に食べることができない場合があります。
そこで重要になるのが、インフゾリアやグリーンウォーターの活用です。
グリーンウォーターには植物性プランクトンが豊富に含まれており、針子が泳ぎながらいつでも栄養を摂取できる環境を作ることができます。
もし透明な水で飼育している場合は、市販の稚魚専用パウダーフードを指先でさらに細かくすり潰して与えてください。
水面に浮くタイプの微粒子状の餌を選ぶことが、捕食の成功率を上げるポイントです。
水質悪化を最小限に抑える給餌の回数
針子の胃は未発達で、一度にたくさんの量を溜め込んでおくことができません。
そのため、1回の量は「目に見えるか見えないか」という極少量に留め、それを1日に5回から6回と可能な限り回数を分けて与えるのが理想です。
食べ残しが底に沈んでしまうと針子の飼育容器は水量が少ないことが多いため、すぐにアンモニア濃度が上昇してしまいます。
いわゆる針子の時期は、成魚に比べて環境の変化に極めて敏感です。
一度の水換えで全滅させてしまうリスクを避けるためには、水を汚さない給餌の工夫が生存率を左右します。
液体飼料とインフゾリアの活用
粉末の餌は、食べ残すとすぐに底に沈んで腐敗し、水質を急激に悪化させます。
そのような問題を防ぐ最も有効な手段は、ゾウリムシなどの生きた微生物やグリーンウォーター(植物プランクトンが豊富な水)を使用することです。
生きた微生物は水中で生存し続けるため、針子が食べ残しても水が腐ることがありません。
むしろ、針子がお腹を空かせたタイミングでいつでも捕食できるため、理想的な環境が出来上がります。
グリーンウォーターであれば、植物プランクトンが水中の有害物質を吸収しながら増殖するため、水の浄化と給餌を同時に行えるメリットがあります。
粉末フードの表面張力を利用した与え方
針子は水面近くに浮いているものを好んで食べるため、人工フードを利用する時には、微粒子のパウダーフードを指先でごく少量つまみ、水面に置くようにして広げます。
このとき、一度に大量に撒くのではなく、針子が数分で食べ尽くせる量を数回に分けて与えてください。
水面に浮いているうちは針子が食べやすい状態ですが、沈んでしまうと追いかけて食べることができません。
沈んだ餌はそのまま汚れの原因になるため、浮力が強く、水面に長く留まるタイプの稚魚専用フードを選ぶことが大切です。
飼育容器のサイズと水量のバランス
水を汚さないためには、餌のやり方だけでなく、受け皿となる水量の確保も重要です。
小さなカップやボウルで飼育するとわずかな食べ残しで水質が致命的なレベルまで悪化します。
最低でも5リットルから10リットル程度の余裕を持った容器で飼育することで、少々の食べ残しがあっても水質の変化が緩やかになります。
水量が多ければ、有害物質が希釈されるため、結果として頻繁な水換えを必要としない「汚さない飼育」が実現しやすくなります。
ラムズホーンなどの掃除屋の導入
針子の容器に小さな巻貝(レッドラムズホーンなど)を数匹入れておくのも一つの手法です。
レッドラムズホーンは針子が食べ残して底に沈んだ粉末餌をきれいに掃除してくれます。
貝の排泄物も出ますが、粉末餌がそのまま腐敗するよりは水質への悪影響が抑えられます。
ただし、貝が増えすぎるとそれ自体が水を汚す原因になるため、容器の大きさに合わせて1、2匹程度に留めておくのが賢明です。
成長スピードに合わせた選別の重要性
孵化から2週間ほど経つと稚魚の個体によって成長に差が出始めます。
メダカは自分より小さな個体を追いかけたり、口に入るサイズであれば食べてしまったりする習性があります。
同じ日に生まれた稚魚同士であっても明らかに大きさが違う個体が出てきた場合は、別の容器に分ける選別作業を行ってください。
この選別を怠ると大きな稚魚だけが餌を独占し、小さな稚魚がさらに衰弱するという悪循環に陥ります。
容器を複数用意し、常にサイズが揃った状態で管理することが、共食いを防ぎ、結果として多くのメダカの稚魚を成魚まで育てることが出来るようになります。
稚魚の免疫力を高める日光
室内で飼育する場合でも稚魚には適度な光が必要です。
日光に含まれる紫外線は、稚魚の体内でビタミンDを生成し、骨格の形成を助ける役割を果たします。
ただし、直射日光が当たり続けると小さな容器はすぐに高水温になり、稚魚が煮えてしまう事故が起こります。
窓越しに明るい光が入る場所を選んだり、すだれを使って光量を調節したりしながら、安定した水温と光を確保してください。