トロ舟ではじめるビオトープ ビオトープの作り方と生物濾過

トロ舟とは丈夫な合成樹脂(プラスチック)製の浅い四角い容器でタフ舟やプラ舟などとも呼ばれ、ホームセンターなどで購入することができます。
呼び名の違いによる特徴の違いまではよくわかりませんが、トロ舟は主にセメントを砂や砂利と混ぜてコンクリートを作る時などに使われる容器です。
トロ舟の特徴とも言える丈夫さ、容量の多さ、比較的浅いことなどが水生植物の栽培やメダカなどの飼育に適していることからビオトープにも頻繁に使われるようになりました。
ホームセンターなどで販売されているトロ舟の大きさは様々ですのでご自身のビオトープスペースにマッチしたサイズを選べるのもトロ舟が扱いやすい理由の一つと言えるのではないでしょうか。
目次
トロ舟ビオトープの作り方
最初に空のトロ舟を置く場所を決めて仮設置してみましょう。
トロ舟を設置する最適な場所は出来るだけ日当たりが良く、平らであることです。
トロ舟を設置し少しだけ水を張ってみると水の傾きによりその場に傾斜があるかどうかを確認することができます。
日当たりに関しては一日中日の当たる場所で無くても大丈夫ですが、最低でも半日以上はしっかりと日が当たる場所を選びましょう。
次に水生植物用の用土やソイルなどを厚さ5〜10cmほどトロ舟の底に敷き詰めます。
そこにゆっくりと水を張ったらそのまま1日置いてから翌日に各種の水生植物を植え込みましょう。
ソイル
水生植物はビオトープの環境を整える

水生植物を植えこむと植物達が光合成をはじめビオトープ内の水質をメダカの住みやすい環境へと変えてくれます。
季節や水温の影響もありますが、ビオトープをセットして1週間程すると水生植物や土中のバクテリアの働きによって水が澄んでくるはずです。
これが水生植物や微生物による生物濾過と呼ばれるものです。
この生物濾過がしっかり確立してしまえばろ過フィルターなどの装置を設置しなくても水を綺麗な状態に保ち続けることができるのです。
そのような状態になったらメダカを入れてあげましょう。
投入当初はその環境に慣れるまで隠れがちになってしまうメダカですが、ビオトープの環境に慣れると気持ちよさそうに泳ぐ姿を見ることができるようになります。
生物濾過に欠かせない水生植物についても簡単にどのような種類があり、どのような特徴があるのか触れておきましょう。
浮き草とメダカのビオトープ

浮き草とはその名の通り、水面に浮かんだ状態で育つ植物で、浮き草を浮かべてあげるだけでビオトープに自然観を演出してくれる効果があります。
浮き草には水面下に細かいヒゲのような根を伸ばすものが多く、その根はメダカの卵を産み付ける為の最適な産卵床になります。

また、卵から孵化したメダカの稚魚にとっても最高の隠れ家となる為稚魚の生存率を高める効果もあります。
さらに浮き草は水面に葉を広げるので水中にはメダカが泳ぐ為の遊泳スペースをしっかり確保できるので小さな容器でも扱いやすい水生植物と言えるでしょう。

スイレンやハスのように見事な花を咲かせるまでにはいきませんが浮き草の仲間にも花をつけるものもありますので季節に合わせて花を楽しむこともできます。
殺風景なビオトープに簡単に自然観を作り上げる、小さな容器でも栽培ができる、稚魚の隠れ家になる、水質浄化能力もあるなど多くの魅力を持った浮き草を育てて見てはいかがでしょうか。
浮草
スイレンとメダカのビオトープ

夏に大振りの花を咲かせるスイレンは涼しげで華やかな水辺を作り出してくれるビオトープの主役ともなれる水生植物です。
スイレンは夏になるとホームセンターの園芸コーナーなどで販売されていますので入手は容易なはずですし、もし近くにホームセンターなどが無いようならネットショップなどでも購入は可能です。
スイレンは水面に大きな葉を広げますのでトロ舟以外で育てるのなら、口径が大きなスイレン鉢を使用される事をお勧めします。
口径40cm程のスイレン鉢もありますがメダカにとっても水量が多い方が水温や水質が安定しますので出来れば60cm以上のものを選ぶようにしましょう。
育てているスイレンなどの開花はビオトープ作りの大きな楽しみの一つです。
スイレンなどの水生植物は各種の園芸植物の中では育てるのが優しい種類が多く、ちょっとしたコツさえしっかり守れば誰にでも確実に花を咲かせることができます。

ビオトープ作りの人気が現在のように高くなってきたのもメダカなどの水生生物とともに誰にでも簡単に花を咲かせることができるスイレンなどの水生植物が多く流通するようになったことも大きな理由のようです。
スイレンは日当たりの良い環境を好みますので1日最低でも6時間以上は日の当たる場所に置くと綺麗な花を咲かせるようになります。
しかし真夏の猛暑日などに一日中日当たりの良い場所にスイレン鉢を置いておくとスイレンにとってはいいのですが、水温が高くなり過ぎてしまう為にメダカにとってはあまり良い環境とは言えない事があります。
そのような時にはすだれなどで日陰を作り水温の上昇を抑えるようにしましょう。
夏場などに水温が高くなると水中の酸素濃度が低くなり、メダカが酸欠を起こす事もあります。
もしメダカが水面でパクパクするような行動が見られ、酸素不足の兆候があるようならエアーポンプなどでエアレーションをしてあげましょう。
スイレン鉢の日常管理としては水の量を確認し、減っているようなら足し水をしてあげてください。
またスイレンが元気に育ち水面がスイレンの葉で覆われてしまう位になったら古いはをカットして水中に太陽の光が届くようにしてください。
温帯性スイレンと熱帯性スイレン

ビオトープで育てることのできるスイレンの種類には大きく分けて温帯性スイレンと熱帯性スイレンがあります。
温帯性スイレンとは主に温帯地域に生息しているスイレンの仲間を元に改良されてきた品種ですので日本の気候でも育てやすいスイレンと言えます。
基本的に温帯性スイレンは熱帯性スイレンと比べると低水温に強く、冬期でも株が完全に凍らず、水面だけが凍結する程度の環境なら一年中屋外で栽培することができます。
つまり、温帯性スイレンは越冬ができるスイレンなので耐寒性スイレンとも呼ばれています。

温帯性スイレンにも様々な品種がありますが、一般的に温帯性スイレンの販売では白花スイレンや赤花スイレンなどと表記されることが多く、詳しい品種名が明記されずに販売されていることがよくあります。
これはビオトープなどで温帯性スイレンを楽しもうとして購入する人達がそこまで詳しい品種名にこだわっておらず、どのような花が咲くのかが知りたい程度であることが多いことにも関係しているようです。
また、一般向けに大量生産されているスイレンでは長い栽培年月の間に交雑が進み、正確な品種名がわからなくなってしまっていることもあるのも事実のようです。
もちろん、スイレン愛好家向けに販売している園芸専門店やスイレン栽培業者が運営しているようなネットショップなどでは様々な品種の温帯性スイレンが詳しい品種名とともに販売されていますので珍しい品種のスイレンが欲しくなったらそのようなショップで探して見るのも面白いかもしれません。
温帯性睡蓮
熱帯性スイレン

熱帯性スイレンは温帯性スイレンに比べると低水温に弱い面があり、一年を通じて栽培ができる温帯性スイレンと違い、初夏から秋にかけての短期間で楽しむことができるスイレンです。
栽培期間は短いですが熱帯性スイレンは夏の強い日差しを浴びて温帯性スイレンには無い鮮やかな色合いの花を咲かせるのが魅力的でもあります。
一般的に熱帯性スイレンは大きな葉をつけるものが多いのですが、環境に合わせて成長しますので直径が50cm以上ある容器なら問題なく育てることができます。
熱帯性スイレンをうまく育てるコツは温帯性スイレンと同じように用土内に油粕を埋め込み、たっぷりと太陽光を当ててあげるだけで次々と新芽を伸ばし、花芽を立ち上げて花を咲かせてくれます。
あまりにも元気に成長し過ぎて葉が茂りすぎると株元に光が当たらなくなり、新芽や花芽を出しにくくなりますのでそのような時には浮葉を適度に間引いてあげましょう。
熱帯性睡蓮
トロ舟で始めるビオトープまとめ
・トロ舟を設置する場所は日当たりがよく平らであること。
・トロ舟ビオトープでは水生植物や微生物の働きが重要。
・浮き草や睡蓮などはビオトープに最適。
今回はトロ舟で始めるビオトープについてご紹介しました。皆様のメダカ飼育の参考にしていただけると幸いです。
トロ舟
ビオトープについてまとめましたので合わせてご覧ください。
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