白みゆきメダカとは?特徴は?
青みゆきと白みゆきの違いは?
みゆきメダカと白メダカを交配すると白みゆきになる?
白みゆきメダカを飼ってみたい。
こんな白みゆきメダカに関する疑問についてご紹介いたします。
白みゆきメダカとは?特徴は?
メタリックに光り輝く体色が美しいみゆき(幹之)メダカは、楊貴妃メダカと並ぶ改良メダカの代表格の一つです。
2007年に初めて出品されてから現在までにさまざまな改良が進み、今ではたくさんの種類のみゆきメダカが登場しています。
そのうちの一つに「白みゆきメダカ」と呼ばれる種類がいます。
白みゆきとは一体どのようなメダカで、どんな特徴があるのでしょうか?
白みゆきメダカとは通常のみゆきメダカよりも「白体色で白い体外光を持ったメダカ」の事を指します。
その特徴はなんと言っても真っ白な体色と白く光沢のある背中のメタリックな輝きです。
メダカの体色を表現する要素は鱗や鰭に存在する色素胞と呼ばれる細胞です。
メダカには黒色素胞、黄色素胞、白色素胞、虹色素胞の4つの色素胞が存在します。
白みゆきメダカはこの4つのうち黒色素胞と黄色素胞の2つが欠如し、白色素胞と虹色素胞が残っているので白い体色をしているのです。
みゆきメダカの特徴である光沢のある背中の輝きは「体外光」と呼ばれ、虹色素胞がこれに関係しています。
虹色素胞自体は色を持たず、反射小板と呼ばれる物質が層のように並んでいる作りになっています。
反射小板はグアニンという物質でできており、この反射小板の層の形状によって色合いが変わります。
みゆきメダカの特徴であるメタリックな体外光は、反射小板が体表に対して規則的に平行に並んでいることで表現されているのです。
この反射小板による光の層が増えるほど、白みゆきメダカの体外光はより白く輝きます。
以上のように、白みゆきメダカの特徴である光沢のある真っ白な体色は、白色素胞と虹色素胞と呼ばれる2つの細胞の働きによって生み出されています。
青みゆきと白みゆきの違いは?
みゆきメダカの代表的品種には、「白みゆき」ともう一つ「青みゆき」という品種が存在します。
では、白みゆきと青みゆきの違いはなんなのでしょうか?
この2品種の違いを簡単に言うと色素胞の優劣による「色の違い」です。
白い体色をしているのが白みゆきで、青い体色をしているのが青みゆきです。
白みゆきメダカは白色素胞と虹色素胞の2つの細胞により、「白い体色と白色の体外光」が特徴のメダカでした。
一方の青みゆきメダカは、黒色素胞、白色素胞、虹色素胞の3つの細胞の働きにより、「青い体色と青白い体外光」が特徴のメダカです。
一般的に「体外光」と呼ばれるものは青みゆきメダカのような青白い光沢ある輝きの事を指して言います。
これは、2007年に菅高志氏が初めて出品したみゆきメダカの元祖、「背中光強メダカ」の背中に発現した色が青白い体外光だったためです。
以上のように、白みゆきと青みゆきの違いは体色の違いです。そして、一般的に「みゆきメダカ」と呼ばれるものは「青みゆき」の事を指しています。
みゆきメダカと白メダカを交配すると白みゆきになる?
自分で白みゆきメダカを作り出したいと言う場合、みゆきメダカ(青みゆき)と白メダカを交配させれば、白みゆきメダカが生まれるのでしょうか?
結論から言うと、交配を重ねれば生まれる可能性はありますが、最初の交配で白みゆきメダカが簡単に生まれる可能性はほとんどないでしょう。
その理由としてメダカの体色の遺伝子型が遺伝するパターンはおおよそ分かっていますが、体外光の遺伝子型や遺伝率がハッキリと分かっていないためです。
メダカの体色の遺伝子型と遺伝するパターンについて、まずは単純な体色を例に簡単に見ていきましょう。
メダカの体色に関係する遺伝子には、主にBとRの2つがあります。Bは黒色色素の優性(顕性)遺伝子で、Rは黄色色素の優性(顕性)遺伝子です。
さらにBには黒斑模様の優性(顕性)遺伝子B‘もあります。また、黒色色素の劣性(潜性)遺伝子のbも存在し、優劣関係はB>B’>bとなっています。
これは、同じ遺伝子座に並んだ時の発現性の高さです。
つまり、BとB‘という遺伝子が同じ遺伝子座に並んでいる個体の場合、両方優性遺伝子ではあるものの、より優性なBが発現するので、この個体に黒斑は現れません。
このような遺伝子の組み合わせでメダカの体色が決まります。
では、今回交配させたい白メダカとみゆきメダカ(青みゆき)の遺伝子型を見ていきましょう
と、その前に、交配によって生まれた子の表記について先にご説明します。
メダカ同士を交配させて生まれた最初の子供を「F1」と言います。Fは「filial generation」の略です。
このF1同士を掛け合わせて生まれた子はF2となり、累代させていくごとにF3、F4、F5…と、数字が増えていきます。
今回のように、ある特徴を定着させたい場合には、その特徴が発現した子同士を掛け合わせて累代していくことがとても重要になります。
以上をふまえ、本題に入ります。
白メダカは黒や黄の体色が欠けているため、これらの優性遺伝子はありません。そのため、遺伝子型は「bbrr」となります。
みゆきメダカ(青みゆき)については、体外光の遺伝子型が分かっていないので、まずは単純に青メダカとして遺伝子型を見てみましょう。
青メダカの体色は、黒と白の2色で表現されます。なので、黒の優性遺伝子は必ず1つは入ります。
そのため、青メダカの遺伝子型のパターンは「BBrr」、「BB‘rr」、「Bbrr」の3パターンになります。
このうち、「Bbrr」の青メダカと白メダカを掛け合わせた場合のみ、それぞれ50%ずつ青メダカの子供と白メダカの子供が生まれることになります。
親の青メダカが「BBrr」か「BB’rr」だった場合には、白メダカは1匹も生まれません。
ただし、生まれた子供(F1)は、「Bbrr」か「B‘brr」の組み合わせのみになるので、この子(F1)同士を掛け合わせると、25%の確率で白メダカが生まれます(生まれた子はF3)。
このように、見た目は同じ青メダカでも遺伝子型の違いによって生まれる子供の体色の割合に違いが出てしまうので、親魚の血統(どのような交配で生まれたのか?)が非常に大切になってきます。
以上のように、体色に関する遺伝子型の遺伝パターンはある程度分かっているので、単純な色の組み合わせ同士で交配するならば、どのような子供が生まれるかある程度予想がつきます。
ですが、みゆきメダカの体外光の遺伝子型と遺伝のパターンはハッキリと分かっていません。
そのため、どのような条件で発現するのか分からないので、まずは交配してみるしかないと言うのが正直なところです。
おそらくF1の段階では、ほぼ白みゆきメダカは生まれません。ですが、白メダカの白色素遺伝子とみゆきメダカの体外光の遺伝子が無くなった訳ではありません。表に現れていないだけです。
なので、その後も得られた子同士で交配を続けてみてください。交配を続ける中で、白い体色に少しでも体外光が乗った個体が複数生まれたらチャンスです。
その子達で交配させ、白の体色と白い体外光を定着させていきましょう。こうする事で、白みゆきメダカを作ることができます。
メダカの体色を決める遺伝子は複数あり複雑なため、簡単に思い描いた通りのメダカが生まれる事はありません。ですが、それがメダカ交配の面白いところです。
白メダカとみゆきメダカの交配で白みゆきメダカを作り出すことも簡単ではないですが、可能性はゼロではありません。
時間はかかりますが自分で作り出す楽しみもあるので、ぜひチャレンジしてみてください。
白みゆきメダカまとめ
- 白い体色に白色の体外光をもつのが白みゆきメダカ
- 青の体色に青白い体外光をもつのが青みゆきメダカ
- 一般に体外光とは青みゆきメダカの青白い表現を指す
- 白メダカとみゆきメダカの交配で白みゆきメダカが誕生する可能性はある
今回は白みゆきメダカに関する疑問についてご紹介しました。皆様のメダカ飼育の参考にしていただけると幸いです。