野生の川にいる天然のメダカと黒メダカの違いは?
黒メダカとニホンメダカの違いは?
黒メダカは絶滅危惧種?捕獲しても大丈夫?
黒メダカの性格は?
こんな黒メダカに関する疑問についてご紹介いたします。
目次
野生の川にいる天然のメダカと黒メダカの違いは?
野生の川にいる天然のメダカは黒メダカなのか?それとも違うメダカなのか?
その答えは黒メダカであるとも言えますし、違うとも言えます。
なんともあやふやな回答になってしまいましたが、その理由は呼び名と遺伝に関係しています。
多くの人が「メダカ」と言われて思い浮かべるのが明るい朱色のヒメダカではないでしょうか?
しかし、野生の川にヒメダカは生息しておらず、黒メダカからの突然変異を固定した改良品種なのです。
黒メダカから品種改良されたヒメダカは黒色素胞を持たないため明るい朱色をしています。
その両種を区別する呼び名として黒メダカと呼ばれるようになりました。
その黒メダカも本来は川に生息していたメダカを養殖して繁殖させたものですので野生の川にいるメダカと黒メダカは同じメダカとも言えます。
現在何百種といる改良メダカも元を辿れば野生の川にいたメダカに行き着きます。
しかしその考え方が、この後ご紹介しますメダカの絶滅危惧種の問題に大きな波紋を呼んだ過去があるのも事実です。
よって正確には黒メダカは黒メダカと呼び、野生の川にいるメダカはニホンメダカと呼ばれるようになっています。
黒メダカとニホンメダカの違いは?
黒メダカとニホンメダカでは、なにが違うのでしょうか?
黒メダカとニホンメダカは大きくまとめてしまえば同じ野生のメダカなのですが、大きな違いは生息地による遺伝子の違いです。
昔は日本のメダカは一種のみと考えられていましたが、遺伝子研究の発展によりニホンメダカは大きく分けて北日本集団と南日本集団に分けられています。
その中でもさらに細かく幾つかの遺伝子集団に分けられています。
2013年に北日本集団のメダカをキタノメダカ、南日本集団のメダカをミナミメダカと呼ぶこととなり、両種をまとめてニホンメダカと呼びます。
よって野生種で生息地がはっきりしているメダカをニホンメダカと呼び、お店などで販売されているメダカを黒メダカと呼ぶことが一般的となっています。
祖先を辿れば同じ種のメダカですが、人の手により様々な遺伝子が混ざり合っているメダカが黒メダカ、純血の遺伝子を持ち続けているのがニホンメダカとも言えます。
呼び名では全て黒メダカとも呼べますが、遺伝子的には黒メダカとキタノメダカ、ミナミメダカは全て違うメダカということです。
黒メダカは絶滅危惧種?捕獲しても大丈夫?
ニホンメダカは2003年5月に環境省が発表したレッドデータブックに絶滅危惧種として指定されました。
その後、2013年2月の第4次レッドリストでは「メダカ北日本集団(Oryzias sakaizumii )」と「メダカ南日本集団(Oryzias latipes)」の2つに分けて記載された経緯があります。
メダカが絶滅危惧種に登録された時にはマスコミが一斉に報道したこともあり、多くの人が知っている事実でしょう。
そんな絶滅危惧種のニホンメダカは捕獲してもいいのでしょうか?
できれば子供たちにメダカを捕まえる楽しさを体験してもらいたいと考える親御さんも多いかもしれません。
結論から言いますと川にいる野生のメダカは捕獲しても大丈夫です。
その理由を日本の法律に則ってご説明いたします。
まず、絶滅危惧種にはⅠ類とⅡ類があり、Ⅰ類は絶滅の危機に陥っているもので、Ⅱ類は絶滅の危険が高まっているものとされています。
ニホンメダカはその中でⅡ類に分類されています。
将来的にはさらに数が減ってしまうとⅠ類に分類される恐れもあります。
Ⅰ類はⅡ類に比べて絶滅の危険性が高いため絶滅危惧種では希少野生動植物種に指定され捕獲が法律で禁止されることがあります。
国内希少野生動植物種については、販売・譲渡・捕獲・採取・殺傷・損傷・輸出入等が原則として禁止されています。
しかしニホンメダカはⅡ類であり、希少野生動植物種への指定はされていませんので捕獲は禁止されていません。
ちなみに現在、国内希少野生動植物種は427種おり、魚類は10種でその中にメダカは入っていません。
ただ、地域の条例等で捕獲の禁止がされている場合にはその条例に従わなければなりません。
環境省のホームページに記載されている情報を記載しておきます。
Q.レッドリスト掲載種(絶滅危惧種)を飼育・栽培したいのですが?
A.法律・条例等で捕獲等が規制されている種もあるため、地方環境事務所・都道府県等へお問い合わせください。
絶滅危惧種にとって「捕獲・採集」は大きな減少要因となっています。
絶滅危惧種を将来にわたって残していくために、一人一人が「むやみにとらない」意識を持つことが大切です。
引用元:環境省レッドリスト等に関するQ&A
このように記載されていますので、乱獲をせずに個人で飼育を楽しむ程度なら捕獲は許されていることになります。
そこに生息するメダカを絶滅させてしまうほどの乱獲は避けたいものですが、逆にメダカを保護しようという活動が問題となった事例もあります。
先に述べましたようにメダカには生息地によって個々の遺伝子が存在します。
しかし、そのことを知らずにメダカの数を増やそうと黒メダカを放流した過去がありました。
そのような活動は一見、ニホンメダカの保護に繋がるように思えますが、違う遺伝子を持ったメダカを放流することで本来のニホンメダカを絶滅の危機に追いやってしまうこともあります。
よって乱獲はもちろんのこと、保護のための放流も絶対にしないようにしましょう。
増えすぎて飼いきれなくなってしまったメダカを放流することも種の保存を妨げることになりますので絶対にやってはいけません。
さて、ここまでは黒メダカとニホンメダカの違いや捕獲についてご紹介してきましたが、実際にメダカを飼うとなると気になるのが、黒メダカの性格です。
黒メダカの性格は?
黒メダカや川で捕まえたニホンメダカは品種改良されたヒメダカなどに比べて臆病な性格をしています。
改良メダカは人が近づくと餌をもらえると思ってすぐによってくることが多いですが、野生のメダカや黒メダカは野生の本能的に物陰に隠れてしまうことが多くなります。
それでも繁殖を行い、稚魚から育ててあげれば徐々に人に慣れてくるようにはなります。
このように野生のメダカや黒メダカは警戒心が強く、人になつきにくい点がありますが、丈夫さで言えば品種改良されたメダカよりも優れています。
丈夫で育てやすい黒メダカを育てるか、多少弱いけれど人懐っこい改良メダカを育てるか、個人の好みで選ぶと良いでしょう。
黒メダカの疑問まとめ
- 野生の川にいる天然のメダカと黒メダカでは遺伝子が違う
- 黒メダカは養殖されたメダカの呼び名でニホンメダカは野生のメダカとして区別できる
- ニホンメダカには大きく分けてキタノメダカとミナミメダカがいる
- 川にいるニホンメダカは絶滅危惧種に分類されているが日本の法律上では捕獲してもよい
- 川にいるメダカは地域によっては条例で捕獲を禁止されている場所もあるので確認が必要
- メダカを放流することはニホンメダカの種の保存を妨げることになるのでやってはいけない
今回は黒メダカに関する疑問についてご紹介しました。皆様のメダカ飼育の参考にしていただけると幸いです。
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