メダカ水槽のコケ掃除を減らすことはできるのか?
なぜメダカ水槽に苔が生えるのか?原因は?
メダカ水槽にコケが生えない飼育方法とは?
メダカ水槽のコケ掃除に最適な道具は?
こんなメダカのコケに関する疑問についてご紹介いたします。
なぜメダカ水槽に苔が生えるのか?原因は?
メダカ水槽にコケが生えてしまうと見た目が悪くなってしまうため定期的に掃除をしなければなりません。
しかし誰しも「できれば水槽のコケ掃除なんてやりたくない。」と思うはずです。
なぜメダカ水槽にコケが生えてしまうのか?その原因から考えてみましょう。
まず、一言でコケと言っても水槽やビオトープに生えるコケは様々です。
水槽のガラスに付着する茶色いコケやふわふわした綿のような茶色いコケなどの茶ゴケと言われる仲間。
繁殖力が強く緑色の糸状のコケが水草や水槽設備などに絡みつくアオミドロ。
ベトベトしたような濃い緑色のコケが水槽の底床付近に溜まる藍藻。
ちなみにメダカの飼育水が緑色になるグリーンウォーターと呼ばれる現象はコケとはまた少々違うものですのでこちらの記事をご覧ください。
このようにコケには様々な特徴と種類があります。
しかし多くのコケの発生原因は似通っており、その原因は
- 他からの持ち込み
- 水槽内の水質悪化
- 水中の富栄養化
- 過度な日光(光)の時間と量
などが挙げられます。
他からの持ち込みとは水草などを購入した際にその水草に付着したコケが水槽内に侵入してしまうことです。
アオミドロなどような糸状コケなどで起こりやすい問題です。
逆に茶コケなどは他からの持ち込みではなく、水槽立ち上げ時の不安定な水質による水質悪化などが原因となることが多いものです。
他からのコケの持ち込みを避けるためには水草購入時にしっかり水道水で洗い、枯れた葉やコケが付着している葉はカットするようにしましょう。
水槽内の水質悪化とはメダカのフンや餌の食べ残しの蓄積によって起こります。
これらの有機物は安定した水槽では濾過バクテリアの働きによってスムーズに分解されていきます。
しかし立ち上げたばかりの水槽や濾過バクテリアの繁殖が少ない水槽では生物濾過がスムーズに働かないため水質悪化が起こってしまいます。
水質が悪化するとコケの栄養となる物質が過度に増えてしまいコケが蔓延しやすい環境となってしまいます。
ここで出てきた「濾過バクテリア」と「生物濾過」についてはこの後詳しくご紹介いたします。
次の水中の富栄養化とは窒素やリンが溜まってしまう状態です。
窒素とリンといえば植物を育てたことがある人ならすぐにピンとくるはずです。
コケは藻類と呼ばれており、大きく分けると植物と同じ仲間となるため窒素やリンを栄養分として光合成を行います。
よってコケの栄養となる窒素やリンが過剰に蓄積すればコケにとって好ましい環境となってしまうのです。
水槽内の窒素やリンは餌の食べ残しや生体のフンなどが分解されるときに生成されるため、肥料などを入れていなくても自然と蓄積してしまいます。
最後の過度な日光や照明の光もコケの成長を促してしまいます。
メダカ飼育に日光や照明は必要不可欠ですが、光の量や時間をしっかり管理することでコケの発生を極力抑えることができます。
これらの問題を一つずつ解決していき、コケの生え難い環境を維持していきましょう。
メダカ水槽にコケが生えない飼育方法
メダカ水槽にコケが生えない飼育方法と書きましたが、メダカ飼育に限らずアクアリウムを行なっていればコケは必ず生えます。
よってコケが生えない飼育方法というものはありません。
まずはそのことを前提として極力コケが生え難い飼育方法を考えてみましょう。
先にご紹介したようにコケの発生原因は以下となります。
- 他からの持ち込み
- 水槽内の水質悪化
- 水中の富栄養化
- 過度な日光(光)の時間と量
この原因を一つずつ解決していくことでコケの生え難い環境を維持することは可能です。
他からのコケの持ち込みについては先ほど説明しましたのでここでは割愛します。
水槽内の水質悪化と水中の富栄養化について合わせて話をすすめていきましょう。
この問題を解決するために知っておくべきことが、「濾過バクテリア」と「生物濾過」と「水換えの必要性」です。
濾過バクテリアがしっかり繁殖して生物濾過が機能している水槽と水換えを定期的にしっかり行なっている水槽はコケが生え難いものです。
濾過バクテリアとは数ミクロンほどの非常に小さな微生物ですので目視することはできません。
しかし水槽内にこの濾過バクテリアが繁殖することで水を綺麗にしてくれています。
それが生物濾過と呼ばれるものです。
生物濾過について少し掘り下げて話をすると以下のような流れになります。
濾過バクテリアには従属栄養細菌と独立栄養細菌がおり、まずは従属栄養細菌の仲間である嫌気性バクテリアが有機物を分解します。
次に好気性バクテリアが高分子有機物を低分子有機物に分解します。有機物→タンパク質→アミノ酸などの流れですね。
アミノ酸などの低分子有機物はさらにアンモニアやリン、二酸化炭素などの無機物に分解されます。
この時に発生するアンモニアは生体にとって非常に毒性の強い物質です。
ここですでに「リン」が発生していることにもお気づきだとおもいます。
このリンがコケの栄養となります。
濾過バクテリアによる生物濾過が順調に進むと次は独立栄養細菌の仲間であるニトロソモナスがアンモニアを亜硝酸塩に分解します。
その後、ニトロバクターと呼ばれるバクテリアが亜硝酸を硝酸塩に分解します。
最終的に硝酸塩は水草などの栄養となりますが、ほとんどの水槽では過剰になってしまいますので水換えによる排出が必要となってきます。
ちなみにアンモニア態窒素、亜硝酸態窒素、硝酸塩態窒素とどの過程でも窒素は存在します。
この一連の流れが滞ってしまい、アンモニアや亜硝酸塩、硝酸塩などの物質が過剰に溜まってしまう状態が水質の悪化です。
さらに分解がスムーズに進んでも分解過程で生じる窒素やリンなどのコケの栄養となるものが増えてしまう状態が水中の富栄養化です。
水槽の富栄養化はメダカなどの生体にはあまり害はありません。
逆に水質の悪化はメダカが体調を崩してしまったり、最悪死んでしまうことさえあります。
よってメダカを健康的に育てるためには水質の悪化は避けなかればいけません。
しかしコケの発生を抑えるとなると水質悪化と水中の富栄養化の両方を避けなければならないのです。
よってコケが生え難い飼育方法とは濾過バクテリアによる生物濾過をしっかり機能させながら定期的な水換えを行うことです。
またコケの原因となる物質を根本から減らすこともコケが生え難い飼育方法の一つと言えます。
メダカ水槽にコケを生やさないようにする方法とまとめますと
- 濾過バクテリアをしっかり繁殖させて生物濾過を機能させる。
- メダカの数を少なめに抑えてフンなどの排泄物を減らす。
- 餌の量を少なめに抑えて餌の食べ残しを減らす。
- 水量をしっかり確保して水の汚れる比率を低く保つ。
- 適切な方法で水換えを行い過剰な栄養分を排出する。
- 水草を多めに入れて過剰な栄養分を吸収させる。
これらの要素がバランスよく保たれた水槽はコケが生え難い水槽となります。
それでもコケが絶対に生えないということはありませんので、やはりコケ掃除は必要な作業になります。
メダカ水槽のコケ掃除に最適な道具
メダカ水槽のコケ掃除が大好きという人はそれほど多くはないはずです。
よってできれば簡単に済ませたい。
そんなコケ掃除を簡単に終わらせるのに最適な道具をいくつかご紹介いたします。
コケクロス
コケクロスはガラス面や水槽設備に付着したコケを簡単に落とすことができます。
コケの掃除のコツはコケの微粒子が水中に舞わないように静かに行うことです。
コケクロスは繊維にコケを絡ませることでコケの微粒子の拡散を最小限に抑えることができます。
よってコケが増え難い環境を維持しやすい掃除方法とも言えます。
プロホース
プロホースは底床掃除の必需品です。
底床内のゴミやコケを静かに吸い出すことができるため、底床付近を常に綺麗な状態に保つことができます。
コケの原因となる物質は水槽の底から溜まっていきますので、水換えの際も水槽の底の方の水を排水することがコケの発生を抑える秘訣です。
コケ除去剤
コケの発生原因となる窒素やリンを抑えてコケの生え難い環境を維持する効果があります。
ただ、ウィローモスなどの苔植物類の水草にも効果が出てしまう商品もあるため、ウィローモスなどを入れている水槽には注意が必要です。
メダカとコケまとめ
- メダカ水槽にコケが生える原因は持ち込み、水質悪化、富栄養化、過度な日光など
- コケが生えにくい環境とは濾過バクテリアにより生物濾過がしっかり機能している環境
- 定期的な水換え作業によりコケの生えにくい環境が維持できる
- コケの栄養はメダカのフンや餌の食べ残しから生成される
- メダカの数を抑え気味にして餌の量も極力抑えることでコケが生えにくい環境となる
今回はメダカ水槽のコケに関する疑問についてご紹介しました。皆様のメダカ飼育の参考にしていただけると幸いです。