メダカをベアタンクで育てる時の注意点は?
メダカのベアタンクにろ材は必要?
メダカのベアタンクでもバクテリアは必要?
メダカのベアタンクの水換え頻度はどのくらい?
メダカのベアタンク室内と屋外の違いは?
メダカのベアタンクでも水草を育てられる?
こんなメダカのベアタンクに関する疑問についてご紹介いたします。
目次
メダカをベアタンクで育てる時の注意点
メダカを飼育する際には、水槽内に底床を敷いて水草を入れ、濾過フィルターなどを設置するのが一般的です。
ですが、メダカは底床なしのベアタンクで飼育することも可能です。
ベアタンクとは、水槽内に底砂を敷かずに水とメダカだけを入れて育てる方法です。
底砂などが不要なので、設備にお金がかからずメンテナンスの手間も少ないというメリットがあります。
シンプルで管理がしやすいベアタンクですが、メダカを育てる上で注意することはあるのでしょうか?
メダカをベアタンクで育てる上で最も注意すべきことは、「水が汚れやすい」という点です。
ベアタンクだと水が汚れやすい理由は濾過バクテリアがほとんど繁殖できない環境だからです。
濾過バクテリアは水槽内に発生した有機物(糞や餌の食べ残しなど)を分解して水を清潔に保ってくれます。
これを「生物濾過」と言います。
しかし、ベアタンクでは濾過バクテリアがあまり繁殖せず生物濾過が働きません。
そのため、発生した有機物が分解されにくく、水が早く汚れてしまうのです。
何故ベアタンクだと濾過バクテリアが繁殖しないのかというと、繁殖のための住処がほとんど無いからです。
底砂やフィルターのろ材などが濾過バクテリアの住処となるのですが、ベアタンクには底砂(底床)がありません。
そのため、濾過バクテリアがほとんど繁殖できないのです。
このような理由からベアタンクでは、メダカの糞や餌の食べ残しといった有機物が分解されにくいので、すぐに水が汚れてしまうというデメリットがあります。
ですが、適切に管理すればこのデメリットはほとんど気になりません。
むしろ、メンテナンスのしやすさとメダカの管理のしやすさから、ベアタンクを採用しているブリーダーさんも多くいます。
レイアウトを楽しみたいという方にはベアタンクは向きませんが、シンプルにメダカを管理したいという方にはおすすめの飼育方法です。
メダカのベアタンクにろ材は必要?
ベアタンクでメダカを飼育する場合、ろ材は必要なのでしょうか?
濾過フィルターをつける場合はろ材が必要ですが、濾過フィルター無しなら基本的にろ材は必要ありません。
ですが、濾過フィルター無しでも濾過バクテリアの力を少しでも借りたいという場合には、水槽内にろ材を入れる事もあります。
ろ材には主に3つの種類があります。
- 物理ろ材
- 化学ろ材
- 生物ろ材
濾過フィルターに取り付けて物理的に汚れを絡め取るろ材が物理ろ材です。
ウールマットなどがこれにあたります。
汚れをろ材に吸着させて取り除くのが化学ろ材です。活性炭やゼオライトなどがあります。
濾過バクテリアの住処となってその働きを利用するのが生物ろ材で、材料はセラミックなどでできており、形状も様々です。
メダカのベアタンクに濾過フィルターをつける場合は、その濾過フィルターに合ったろ材を取り付けてください。
濾過フィルターを付けずにろ材を直接水槽内に入れたい場合には、上記の3つのうち化学ろ材か生物ろ材を選んで使いましょう。
これらのろ材を使う場合、水槽内から取り出しやすいようにネットなどに入れておくと管理がしやすく便利です。
通常ベアタンクでは濾過バクテリアが繁殖せず生物濾過は期待できませんが、ろ材を入れることで多少は生物濾過が回る様になります。
少しでも水換え頻度を抑えたいという場合にはろ材を入れてみると良いでしょう。
ただし、ろ材内に入り込んだ汚れを掃除する手間が増えるので、適切な頻度で水換え出来るのであれば、ろ材を入れる必要性はそれほど高く無いでしょう。
以上のように、メダカのベアタンクにフィルターを付けている場合はろ材が必要ですが、フィルター無しならば必ずしもろ材は必要ありません。
メダカのベアタンクでもバクテリアは必要?
水槽内の水を綺麗にするのに濾過バクテリアは欠かせませんが、メダカのベアタンクにも濾過バクテリアは必要なのでしょうか?
結論から言うと基本的には必要ありません。
何故ならベアタンクには濾過バクテリアの住処となる底砂が無いため、いくらバクテリアを導入してもあまり増えないからです。
そもそも何故濾過バクテリアが必要なのかというと、水槽内の水を清潔に保つためです。
水槽内には糞や餌の食べ残しといった有機物が発生します。
これらの有機物からはアンモニアや亜硝酸塩といった非常に毒性の強い物質が発生します。
俗に「水が汚れる」と言われる状態は、「有機物が堆積しアンモニアなどの有害物質が大量に発生した状態」です。
濾過バクテリアは、これらの有害物質を分解して無毒化してくれるので、濾過バクテリアがしっかりと繁殖した水槽は水が汚れにくく、水換え頻度も少なくて済むのです。
このような濾過バクテリアが有害物質を無毒化する濾過方式を「生物濾過」と言います。
一方、水換えは人の手で物理的に汚れを取り除く方法です。
濾過バクテリアか人の手かという違いはありますが、両方ともその目的は「汚れを取り除き水を綺麗にすること」です。
生物濾過だろうが水換えだろうが水を綺麗にしていることに変わりありません。
つまり、メダカのベアタンクでは水換えで水質を管理しているので、濾過バクテリアがいなくても問題無いのです。
水質管理には濾過バクテリアが必須と思われがちですが、必ずしも濾過バクテリアがいなくてはダメというわけではありません。
ベアタンクのような濾過バクテリアが定着しない様な環境でも、適切な水換えを行うことでメダカに適した水質を維持することは十分に可能です。
ただし、水換え頻度を少しでも減らしたいという場合には、濾過バクテリアの力を借りるという方法もありです。
ベアタンクに濾過バクテリアを繁殖させる方法としては、先にご説明したろ材を使う方法があります。
ご自身の管理しやすい方法を取り入れてみて下さい。
メダカのベアタンクの水換え頻度
メダカのベアタンクは濾過バクテリアの生物濾過が期待できないので、水換えで水質を維持します。
では、水換えはどのくらいの頻度で行えば良いのでしょうか?
メダカのベアタンクの水換え頻度は飼育しているメダカの匹数や水量によって変わりますが、基本は毎日水換えします。
とはいっても、それほど大掛かりな水換えでは無いので大変な作業ではありません。
ベアタンクでメダカを飼育していると水槽の底に糞などの汚れが溜まっているのが見えます。
この汚れを毎日スポイトやホースで吸い出し、減った分の水を足すだけで水換え完了です。
基本はこの作業を毎日行うのが理想ですが、60cm以上の水槽で飼育匹数に対して水量が豊富にあるならば、2日~3日に一回の水換え頻度でも大丈夫です。
過去の記事でも水換え頻度についてご紹介していますが、その記事では毎日の水換えは必要ないと書いています。
その記事と今回の違いは大掛かりな水の交換ではなく、沈殿物の排出を目的とした作業だからです。
大きく纏めると同じ水換え作業ですが、水槽の水を多めに変えて水質を安定させる水換えと沈殿物を吸い出す水換えとは目的が異なります。
底砂ありの通常の水槽のような、1~2週間に一回、全水量の1/3~半分程度の水を交換する方法とは違い、ベアタンクは毎日少量ずつ水換えするので水質の急変が起こりにくいというメリットがあります。
また、底砂ありの水槽の場合、底砂を掃除する際に汚れを巻き上げてしまうと、一気に水質が変化する恐れがありますが、ベアタンクではそのような心配もありません。
以上のように、メダカのベアタンクの水換えは毎日少量ずつ行うのが基本ですが、水量が多い水槽ならば2日~3日に一回でも大丈夫です。
このような方法とは全く違った方法もあります。
メダカを屋外で飼育している人の中には同じ環境に汲み置きした水を作っておき、定期的に全交換や半分くらいの交換をするような水換えスタイルをとっている人もいます。
この方法は同じ環境に汲み置きした水を置いておくことで水換え時の水温変化や水質変化を少なくする方法です。
また沢山の水を一気に交換するため、飼育環境は常に綺麗に保てます。
このように水換えは大事な要点さえしっかり守れば色々なやり方があると言えます。
メダカのベアタンク室内と屋外の違い
メダカは丈夫な魚なので、室内だけでなく屋外に容器を置いて飼育する事もできます。
では、メダカをベアタンクで飼育する際、室内飼育と屋外飼育で違いはあるのでしょうか?
一般的に管理しやすく育てやすいのは屋内飼育です。
屋内飼育のメリットには次のようなものが挙げられます。
- 鑑賞性が高い
- 水温管理しやすい
- 1年中産卵させられる
屋外飼育の場合はトロ舟や発泡スチロールと言った容器でメダカを飼育することがほとんどです。
そのため、上からしかメダカを見ることが出来ません。
一方の室内飼育の場合は、水槽や金魚鉢といった容器で飼育することが多いものです。
そのため、上からだけでなく横からもメダカを観察することが出来ます。
そのような理由から室内飼育の方がより鑑賞性が高いと言えます。
室内飼育ならばメダカのベアタンクの水温管理も簡単です。
水槽内にヒーターを設置したり室温をエアコンで一定に保つようにすれば、メダカのベアタンク水槽の水温を簡単に管理できます。
メダカは冬場の低水温でも冬眠して生き抜く力がありますが、それでも水温が急変すると死んでしまうことがあります。
メダカに余計なダメージを与えずに健康に長生きさせるためには、水温を常に一定に保った方が良いとも言われています。
室内飼育だと水温を1年中一定に保つことが容易なため、メダカの産卵を1年中楽しむことが出来ます。
水温を20℃~25℃程度に常に保っておくことで、冬場でも産卵させることが可能です。
メダカを交配させてたくさん稚魚を得たいという場合には、温度管理が容易な室内飼育の方が良いでしょう。
このように、室内飼育の方がメダカの管理がしやすいと言うメリットがありますが、屋外飼育にも室内飼育にはないメリットがたくさんあります。
- 酸欠になりにくい
- 太陽光をたくさん浴びる事ができる
- 大きく育つ・体色が濃くなる
- 餌不足の心配が少ない
屋外での飼育の場合、エアレーションが無くても酸欠になる心配が少ないです。
何故なら、屋外だと風が吹くたびに水面が波打ち、酸素が水中に溶け込むからです。
そのため、屋外飼育ではエアレーションがほぼ必要ありません。
また、屋外飼育では自然の太陽光をたっぷりとメダカに浴びさせる事が出来ます。
太陽光はメダカが健康に育つ上でとても重要です。
太陽光を浴びることでメダカの体内ではビタミンDが生成されます。
これは免疫力を高めたり骨を丈夫にするために欠かせないビタミンです。
室内飼育でも太陽の代わりにライトで光を補うことは出来ますが、やはり自然の太陽光には敵いません。
それを裏付けるように、室内飼育のメダカと屋外飼育のメダカを比べると、屋外飼育のメダカの方が早く成長しますし、最大サイズも屋外飼育の方が大きくなります。
また、太陽光をしっかりと浴びる屋外飼育のメダカの方が、より濃い体色に育ちます。
このため、より体が大きく体色が濃い個体を作りたい場合には、屋外飼育の方が良いです。
屋外飼育では餌不足になる心配が少ないのも大きなメリットです。
メダカを屋外でベアタンクで飼育していると、簡単にグリーンウォーターが出来ます。
グリーンウォーターは植物性プランクトンが発生している状態です。
この植物性プランクトンはメダカの餌になるので、グリーンウォーターで飼育しているメダカは常に食事をしているような状態となり、餓死する心配が減ります。
特にメダカの稚魚を育てる場合にはグリーンウォーターで育てた方が安心です。
このほか、蚊の幼虫であるボウフラがメダカのベアタンクに沸くことがありますが、これもメダカの餌になります。
このように、屋外飼育では天然の餌が豊富に沸くので、メダカの餌不足の心配が無く稚魚も育ちやすいというメリットがあります。
以上のように、室内飼育も屋外飼育もそれぞれメリットがあります。目的に合わせてどちらで飼育するか選ぶと良いですね。
また、室内飼育と屋外飼育を季節ごとに使い分けるというのも一つの方法です。
例えば、暖かい春から夏は屋外でしっかりと大きく育て、秋から冬は室内で冬を越させるというように使い分けるのも良いですね。
屋外のベアタンクでも冬越しさせる事は出来ますが、メダカのサイズが小さいと死んでしまう個体も多く出ます。
なるべく多くの個体を冬越しさせたい場合には、やはり屋内飼育の方が確実です。
このように、季節ごとに室内と屋外を使い分けるという方法もあります。
メダカのベアタンクでも水草を育てられる?
水草水槽には必ず底砂が敷いてあります。
何故なら水草の多くは底砂に根を張って成長するからです。
それでは、メダカのベアタンクでは水草を育てる事は出来ないのでしょうか?
結論から言うと、底砂の無いメダカのベアタンクでも水草を育てる事は出来ます。
例えば、マツモは節から根を伸ばして水中から養分を吸収して育つため、水面に浮かべておくだけでも育てることが出来ます。
これなら底砂の無いベアタンクでも十分に育てられます。
また、ホテイ草などの浮き草もベアタンク向きです。
この他、ウィローモスやアヌビアスナナなどの活着する性質を持つ水草もベアタンクで育てる事が出来ます。
流木やリングろ材などにウィローモスなどを活着させて、そのまま水槽に入れればOKです。
このように、底砂が無いベアタンクでも水草を育てることは十分に可能です。
これらの水草は水中の有機物といった余分な養分を吸収してくれるので、富栄養化を防ぎ水の汚れを遅らせる効果が期待できます。
メダカのベアタンクの水をより綺麗に保ちたい方はぜひ水草を活用してみてください。
メダカのベアタンク飼育まとめ
- メダカのベアタンクは水が汚れやすいのでこまめに水換えすること
- ベアタンクにろ材は必要無いが目的に応じて使っても良い
- ベアタンクは水換えで水質管理するのでバクテリアの必要性は低い
- メダカのベアタンクは毎日少量ずつ水換えする
- ベアタンクでも水草を育てる事はできる
今回はメダカのベアタンク飼育に関する疑問についてご紹介しました。皆様のメダカ飼育の参考にしていただけると幸いです。
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